政権交代

選挙制度を中選挙区制から小選挙区比例代表並立制に変えました。
1996年の第41回衆議院総選挙からでした。
中選挙区制は政治腐敗の原因だ。議員が地域利権と癒着しやすいなどと言われました。現象として第43回総選挙から選挙結果が動き始めました。
民主党が躍進し野党第1党に上がりました。
次の第44回総選挙いわゆる郵政選挙では、自民党が1人地方区で得票率47.7%、議席占有率73%と大勝しました。
そして第45回選挙で民主党が政権交代を果たしました。
この時民主党は地方区で得票率47.43%、議席占有率73.7%です。
今回の第46回総選挙では自民党が大勝し、地方区得票率43%、議席占有率79%で政権を奪還しました。
小選挙区制では3割の得票率で6割の議席獲得が見込めるといいます。
小選挙区に比例代表並立制を交えていますから、若干の修正が加わりますが、それでもその時々の浮動票の行方によって、政権交代が可能な選挙制度になっています。
私たち国民にとって政権選択は可能で身近なものになりました。
「お任せの政治」から「選ぶ政治」の時代になったとも言えます。
ところが投票率をみると、従前の中選挙区制の時と比べて、明らかに低下しています。第30回か40回までの総選挙では、70%を下回った選挙は4回ありました。あとはすべて70%を超えています。60%台後半から70%超となっています。第41回から46回までの選挙では70%を超える選挙はなく、60%を下回る選挙が3回です。投票率50%台の総選挙は中選挙区制では一度もありませんでした。
実質をみても政治家批判や政治への不信や不満ばかりが目立っています。
選挙と政治の基本や実際に関して十分な情報が提供されて討議の質が向上したとは言えないでしょう。
私たち国民は「お任せ政治」から「選ぶ政治」へと意識と実践を向上させた。
そう言って胸を張れる状況にはない気がします。
「選ぶ政治」にふさわしい選挙意識を私たちは持っているか。
「選ぶ政治」ふさわしい選挙を私たちは実践できているか。
「選ぶ政治」にふさわしい意識をもち、これを実践するために何が必要か。
国の政治のレベルは国民の政治意識と実践のレベルに比例すると言われます。
確かにそうでしょう。
私たちが最善の選択をするためには、揺るぎのないものさしと多様で正確な情報が必要です。
選挙と政治選択におけるものさしとは何なのか。
選挙と政治選択に必要な情報とはどのようなものなのか。
それらを手にするためにどのようなシステムを準備し、それを動かすためにどんな技術がいるのか。
いつまでこの選挙制度が続くのかわかりませんが、今回の政権交代を機会に、私たちの政治意識と実践のレベルを上げることができればいいなあと、私は思います。


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